港町ル・アーブルの風景がとにかく美しい。カウリスマキが映し出す映像は独特で、全体的に青の色調で統一され、画面に収まる建物や歩く人の配置が秀逸でバランスが良い。
切り取ってポストカードやジグソーパズルにしたくなるような映像美だ。カメラマンが撮った写真のようであり、画家が描いた絵画のようでもある。
港町で靴磨きをしているマルセルが、不法移民の少年と出会い、匿う。マルセルの周囲の人たちは皆、いい人ばかりで助けてくれる。
いろんな人たちの優しさが繋がって、少年を助けようとするが、モネ警視がやって来て、ああ、もうダメだ…終わったと思った。
モネー‼あんたって人は…もー!
多くの善意によって救われた奇跡。
そして、もうひとつの奇跡。
正直、え、マジで?と思ったが、ハッピーエンドでいいじゃないか。少年を救った優しさを見ていた神様がくれた奇跡。ご褒美ということでいいかな。