パケ猫パケたん

救命艇のパケ猫パケたんのレビュー・感想・評価

救命艇(1944年製作の映画)
4.1
祝♪ ヒッチコック・レビュー2本目な
オイラ(^_-)

文豪ジョン・スタインベッグの原案のサスペンス映画。第二次大戦中の救命艇内ひとつの密室ドラマであり、その実験性が際立っており、その点でヒッチコックらしい作品と云えるであろう。制作当時1944年、世界は、デモクラシーとナチズムがせめぎあっており、その縮図としてのこの映画の構成は際立っている。

ファースト・シーンは、大西洋上でナチスに撃破された輸送船の残骸、波間に浮かぶ椅子や、ポスター、スプーン、チェス盤などの横移動撮影で始まり、もののあわれの西洋版、溝口健二のロング・テイクを彷彿とさせる、秀逸なショット。

ストーリーは、美魔女で、救命艇なのに着飾っているタルーラ・バンクヘッドの正体、ナチスの海軍兵の正体、そして、救命艇の行方と、三重のサスペンスが同時進行しており、豪華な構成なのだが、また、平行して描かれる、水葬に於ける明暗のある撮影など、神秘的で、『間違えられた男』、『裏窓』などに連なる、神の視点のインサートに魅了された。

女優について。ベティ・デイヴィスやフェイ・ダナウェイ系の妖艶な、夜叉顔の、タルーラ・バンクヘッドの魅力がこのモノクロ映画の後半、女の顔になって爆発している。ブルネットの栗色の髪の彼女が、時間帯や照明の違いにより、時としてしっとりとした黒髪、時として挑発的で美しい金髪に撮されていて、ヒッチコックの金髪好き、美魔女好きは本物だよなぁと、妙に感心o(^o^)o ♪マイ(ユア)・ネーム・イズ・タルーラ♪

あと、冒頭の方で、彼女の脚線美、パンストを履いたシーンがあるが、やや上からの視点から撮されていて、脚線美を強調するのなら、もっと下から撮らないと、これも神の視点かな~と少しオイラは悩んでいたが、タルーラ・バンクヘッドたん♪の事を調べていると、何と彼女はいつもノーパンで、この映画もノーパンで挑んでいたそうで、ヒッチコック御大でも流石に、具🐚に直結しているので、ローアングルでは撮れなかったのだろうと妙に納得をしましたょ♪

酒と男に生きた、タルーラ・バンクヘッドの生涯は調べると面白いので、ユーチューブとかで検索すると楽しめます。勉強になります。(^o^)♪

そして、幾日も漂流していたので、汗と香水に蒸せている筈の、彼女のカルティエの腕輪で、魚を釣るという発想、なんとも優雅な、欲しがりません勝つまではの表現が素晴らしく、日本は勝てないよ、これらの大人相手では。

デモクラシーで何とかナチズムに勝てないのか、富めるものも貧しきものも、白人も黒人も一丸となって、そんな期待と戸惑いの大海の中を、救命艇は、開拓者の船は、人類の小舟は進んで行くのでした。

ヒッチコック登場シーン 25分位に 痩せ薬の新聞広告、やるな~♪

オイラのヒッチコック映画の探検は、まだまだ続きます。