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少年時代のmuraのレビュー・感想・評価

少年時代(1990年製作の映画)
4.5
フィルムマラソン日本映画名作選というイベントで鑑賞。4本上映されるうちの2本を見た。イベントに足を運んだのもこの映画を見たかったから。ずいぶん昔に見て、もう一度見たいと思っていた。最後にものすごい感動に導かれた記憶があって。

藤子不二雄Aの原作…と思っていたら、そのもととなる原作があったのか。そういえば映画を見た直後に原作の漫画を探して読み、それからしばらく藤子不二雄Aの漫画にはまっていたなと。

昭和19年の夏に東京から富山に疎開したシンジ。疎開先の同級生たちはシンジに厳しくあたるが、級長でガキ大将のオオハラと親しくなるなかで、しだいに受け入れられるようになる。しかしオオハラのわがままや乱暴に同級生たちは反感をいだき、ついにはオオハラを懲らしめる行動に出る。シンジも加担し、関係が壊れたなかで終戦を迎える…といった話。

最後、感動に鞭びかれる流れは、率直にいえばありきたりなもの。でも、あらためて見て、あのときどうしてあれほどの感動に導かれたのかがわかった。時には理不尽にも思える少年たちの人間関係、また行動が非常にリアルで、一方で学級内にクーデターがおこるところなど、エンターテイメントとしても面白い。こういったなかで少年たちの世界にどっぷりと引き込まれて、最後にあのシーケンスかと。

そう、戦時下ながらもたくましく生きる人びとの様子に、「反戦」への思いが込められているようにも思えたというのもある。

それにしても、ここに描かれる富山の農村・漁村の風景が本当に素晴らしい。こういった風景はもう描けないんだろうなと思うと、感動もさらに増すなと。
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