ジェイコブ

続網走番外地のジェイコブのレビュー・感想・評価

続網走番外地(1965年製作の映画)
4.0
函館の銀行で強盗事件が発生。大量の宝石が盗まれ、犯人は仲間を殺害して逃走した。その頃、刑期を終えて網走刑務所を出た橘真一は、青森に向かうべく舎弟の大槻と共に函館港にいた。橘はそこで出会った女ユミのスリを止める。ユミが他の客にスリを働かないよう見張るため、橘はユミと共に船に乗り込む。その船には強盗事件の盗品である宝石がまりもに包まれて運ばれており、舎弟の大槻がまりもと思い込み、一つ盗み出してしまう。青森に着いた橘と大槻は、地元のヤクザに仁義を立て、露店商で金を稼ごうとするが、大槻のもとにまりもを高値で買い取ると言う男が現れる……。
石井輝男監督、高倉健主演の網走番外地の続編。舞台は網走刑務所から青森へと移り、出所したかつての刑務所仲間との再会、因縁を交えながら、真人間になろうと生きる橘の姿を描いている。それにしても、出所後初の仕事が、外でパンティーを売るというのがまた痛快。パンティーを真面目な顔して売る高倉健なんて、笑わずには見られないだろう笑。その他、シャバの空気が吸ってみたいが為にしょうもない嘘を着いた田中邦衛の存在感や、どこからともなく現れ、橘を救う嵐寛寿郎の格好良さに惚れ惚れする。さらに本作のゲストで謎の男吉本を演じるのが水戸黄門の初代弥七役で知られる中谷一郎。他の面々に負けず劣らず、いぶし銀の魅力が溢れ出ていた。
前作が橘の背負う悲しい背景を見せると同時に、刑務所に入る悪人を作る社会の歪の問題点を描いていたのに対し、本作は終始ドタバタ劇の様相を呈している。祭りで踊りながら喧嘩する面々や、野球拳みたいにパンツ脱いだらもう一枚パンツを履いてるストリッパースネーク路子など、所々笑ってしまうようなユーモラスなシーンで溢れている。前作でどんよりした気持ちを、本作で晴れやかにするという、シリーズ二作目としては何とも不思議な作品笑。