Azuという名のブシェミ夫人

アンソニーのハッピー・モーテルのAzuという名のブシェミ夫人のレビュー・感想・評価

3.2
心を病んで精神病院に入院していたアンソニー。
アホな友達ディグナンに誘われて、退院して早々強盗の計画を立てるのだが・・・

ウェス・アンダーソンの長編デビュー作。
ついでにオーウェン&ルークのウィルソン兄弟デビュー作か。
それを知っての先入観なのか画面全体が初々しくて、妙な清々しさがある。
ウェスらしさの片鱗は見られるものの、まだまだアッサリ。

この長編を撮影してみたこと自体が、ウェスの『こうしたい!ああしたい!』っていうイマジネーションを膨らませる起爆剤になったんじゃないかな?
自分が大好きなものを写して、みんなに見てもらいたいんだっていうウェスのはしゃぎ声が、まだザックリではあるけど伝わってくる。
ただ最近の彼の作品は静と動の流れがスムーズなんだけど、この作品は撮りたい人や物を常に画面の中心に据えた構図のせいなのか静止画のスライドショーみたいに見えてしまうところがある。

『アンソニーのハッピーモーテル』って邦題どうなの?
モーテル出てくるの全編で30~40分ぐらいだったと思うけど。
その場面ですらハッピーモーテルっていうか
『ハッピーバカ(脳内お花畑)inモーテル』だし。
でも始まってすぐオーウェンのアホキャラに嬉しくなってしまった私は既にウェス末期。
そんなわけで、おバカな仲間たちのおかしな強盗作戦は失敗の予感しかしないけど、ついつい好きにやったらイイよって甘やかしたくなる。
そんなユルさ♡
観てる方もモーテルのプールでぷっかり浮かんでるみたいに、ゆる~く軽~く観ればイイと思う。

言葉が通じないことによる認識の相違、伝わらない伝言なんかも面白かった。
何はともあれ、大好きなウェス作品の原点が観られて感慨深い。