Azuという名のブシェミ夫人

フレッシュ・デリのAzuという名のブシェミ夫人のレビュー・感想・評価

フレッシュ・デリ(2003年製作の映画)
3.9
街のお肉屋さんで働くスヴェンとビャンは横柄な店主のもとを離れ、自分達の店を開くことに。
しかし、ひょんな事故からパニくったスヴェンが人肉を売ってしまったところ、なんとその味が人気となって行列の出来る店になってしまう。

ジュネの『デリカテッセン』を彷彿させる内容とマッツ・ミケルセンに惹かれて鑑賞。
ジャケットが凄いインパクトですけれども、こんなシーンは一切出てきませんし、物語のグロさとはかけ離れて直接的な描写は殆どありません。
ただしずーーーっと根暗なんですけどね・・・だというのに、なんなのでしょうこの妙なゆるさ。
真顔で言う台詞や行動が微妙に世間の軸からズレてて、こいつらヤバイなと思うんですけれどニヤリとしてしまう。
というかね、マッツ・ミケルセンですよ。
谷村新司ばりのデコ出しの髪型ほんとやめて欲しい。
デコ広げ過ぎ。
マッツが演じているスヴェンは、どうしようもないクズで常にテカテカ汗っかきで、超卑屈で性格が捻じれに捻じれまくってる奴なんですけれど、マッツがやってると思うと笑えてしまってね。
完全に嫌うことが出来ないのですよ。
別れようとする妻に『さっさと去ればいい』と悪態つきつつ本当に去られてショックを受けたり、一人でボーリングの練習してるとことかニヤニヤが止まりません。
わざわざこの役やる為にボウズにしたマッツ・・・仕事のチョイス・・・。笑
でもところどころ、ハンニバルみたいな気品が見えちゃってましたけれどね(超贔屓目)

そしてその相方であるビャンの掴みどころのなさ、少しづつ明らかになる彼の過去にいつの間にやら感情移入。
このビャンと彼の双子の弟で脳に障害を持つアイギルをニコライ・リー・カースが一人二役で演じているのだけれど、まるで別人に見えて凄く上手かった。
あと、あの有無を言わさず繰り出される蹴り!笑
寡黙でミステリアスな雰囲気が素敵でどっかで観たことのある方だなーと思ったら、『天使と悪魔』の暗殺者の人!
いやー『ダ・ヴィンチ・コード』のポール・ベタニーと言い、ロン・ハワード監督の悪役チョイス良いね。(何様)

まぁすったもんだありましたけれども、みんな結構幸せ・・・いやいやいや!オイオイオイ!
こ、こいつら・・・なに晴れやかに終わらせてんのよ。笑
思わず良かったねーって微笑みかけたわ。
でも・・・結構面白かったんだよね・・・。
悔しい・・・。