八甲田山のるいのレビュー・感想・評価

1977年にこんなに完璧な映画作ってたことに羨ましさを覚える。豪華な俳優陣、製作陣、ジリジリと精神を削っていくストーリー、約３時間の大作だけどずっと目が離せない。

八甲田山というと冬季軍事訓練の中で起こった史上最悪の遭難事故。くらいしか知らなかったけど、これ天候のせいじゃなくて完全なる人災だったんだね。

私は登山をするけれどやってはいけないことしかやってない。ほんと見てて心臓バクバクして見てられなかった…吹雪で前が見えない、吹きっ晒しで隠れられない、それでもリーダーは無謀な行動を要求する。恐怖でしかなかっただろうよ。

あっと驚かす演出ではなくてほんとに少しずつ少しずつ追い込まれていく丁寧な作りで、見ていて相当なストレスだった。（その手腕が素晴らしい）と同時に、今こんな作品撮れないだろうなとも思う。リメイクしてもここには到底到達しない。

それからこんな高倉健見たいが全部詰まった作品で、ほんといつか一回は誰しもが見てほしい。主人公が高倉健でなければここまでずっしりと重いものにはならなかったろう。

日露戦争前の青森八甲田踏破訓練。実施を政府が決めたとなれば予算やなんや確保せねばならないので、あくまでもやってみないかと提案する形で話しは進む。実質は命令なのだ。その訓練に取り組むことになったのは神田中隊長率いる青森歩兵第五連隊と徳島中隊長率いる弘前歩兵第三十一連隊。それぞれの隊は八甲田ですれ違う行軍計画となり山での再会を誓うのだった。

しかし、まさかあんな事態になろうとは…