茶一郎

ミュンヘンの茶一郎のレビュー・感想・評価

ミュンヘン(2005年製作の映画)
4.3
『モハド最強説』

 1972年ミュンヘンオリンピック事件、それに対するイスラエル諜報機関モハドによる報復作戦が行われた。主人公のアヴナーは暗殺チームのリーダーに選ばれる。そこにはアヴナーの家族との別れ、暗殺をする側の苦悩があった。
スピルバーグによるチームモノ、サスペンス。暴力に対する暴力の悲惨さ、無意味さが描かれる。

 実録映画にも関わらず、実際の事件の内容を知らなくても十分に楽しめるエンターティメントに仕上げてしまうスピルバーグ力。
暗殺チームモノとしての爽快感は削ぎ落とされる。十八番のグロテスク暗殺描写によりただ暴力の悲惨さだけが目立つ。
電話型爆弾を少女が取ってしまうか・阻止するかサスペンス。全編通して緊張感が絶えない。

 暗殺を命じられたターゲットは一見、普通のオッサン。暗殺をすることの罪悪感。暗殺を実行することで暗殺のターゲットになってしまう。暴力に対する暴力に対する暴力。コンビニの傘を盗られた人が、傘を盗り、また盗られた人が傘を盗る。

 ラストに映るまだ崩れる前の世界貿易センタービル。テロに対する報復の無意味さも暗示される。
ちなみに私は大学でよく自転車に付けている傘を盗られます(いい加減にしてくれ)(映画を矮小化する酷いレビュー)
茶一郎

茶一郎