唯

バックマン家の人々の唯のレビュー・感想・評価

バックマン家の人々(1989年製作の映画)
3.5
どの家庭のどの人物にも、何だか私や私の家族のことである様な錯覚を抱かせる。
設定や立場は違うけれど、いつかどこかで感じたことのある感情を想起させるのだ。
決して内面を語らせたりはしないが、日常の些細な場面場面を映すことで、一瞬で関係性や考えを悟らせるのは見事。

それぞれ表し方は違うけれど、親が子供を想っているのは間違いなく事実で。
親からの声掛けなど親の在り方によって子供は人格形成して行くのだと、改めて感じる。
子が親のことを尊敬できるかも大事だよなあ。
親が周囲から認められて評価される姿を見ることは、自分が肯定されている様に感じるのだから。
そうして自信を身につけられる。
親から信頼されているという実感もまた子供を成長させるし。

「子供をどうさせたいか」より「親としてどうありたいか」という視点を持てるかも凄く大きいなあ。
親の生き方は未来の子供の生き方かもしれないのだし。

「胸が悪くなるほど怖くて、でも同時にスリルでワクワクした。友達はそれが嫌だとメリーゴーランドに乗った。あんなのただ回るだけ。ローラーコースターの方がずっと楽しいのよ」
人生というローラーコースターを楽しむことが出来る人間でありたいね。
恐怖や困難やトラブルでさえも笑い飛ばすだけの力を持ちたい。
親にとっては子供の存在そのものがローラーコースターみたいなもの。
それを大らかに受け入れるだけの度量が親には必要で。
安全安心だけれど刺激もなくて退屈な人生を選ぶのか、めちゃくちゃ怖いけどそれ以上にエキサイティングな人生を選ぶのか。

当時は発達障害=精神病と捉えられていたのだから、そりゃあ親もより受け入れ難いよな。
唯