このレビューはネタバレを含みます
インド映画の傑作!
162分の大作だが、この映画のもつパワーに終始圧倒された。
映画は冒頭、
サンフランシスコにいる一人の男を映し出す。
アメリカ大統領に会いたいこの男。
表情や言動に落ち着きがない。
空港で取り調べを受ける。
ただならぬ雰囲気が漂う。
自閉症カードを保有するこの男の名前は、
“リズワン・ハーン”
大統領に会いたい理由は、
“マイネーム イズ ハーン”
“アイム ノット ア テロリスト”
と伝える為だ。
9.11のテロ以降、世界は大きく変わった。
イスラム教=テロリスト
偏見に苦しむ人々が一体どれだけいるのだろう。
物語はインドでのハーンの幼少期から始まる。
自閉症(アスペルガー症候群)への理解。
イスラム教とヒンドゥー教の宗教対立。
大人になり弟を追ってアメリカに移住したハーンは、仕事で出逢った美しい女性(本当に綺麗!)マンデラに一目惚れする。
イスラム教のハーンとヒンドゥー教のマンデラ
ハーンの誠実で温かい人柄に、シングルマザーのマンデラも惹かれふたりは結ばれ幸せいっぱいの日々が始まる。
二人の間に偏見や宗教なんて関係ない。
善き人の心と愛で、そんなものはどうにでもなると思った。
そんな矢先の9.11。
あまりにも巨大な悲劇は、幸せな彼らの人生をも一変させる。悲しみの連鎖。この怒りを誰にぶつければよいのか…
ハーンは“ある決意”を胸に独り旅に出る。
冒頭のシーンに繋がる。
物語の前半は、ボリウッド映画らしくコミカルな演技やマンデラとの恋にほのぼのとし、温かい気持ちでいっぱいになる。
だが後半、物語は一変する。
悲しみ、やりきれない思い。
だが、その後の巻き返しが見事だ。
特に、ママジェニーと息子ジョエルとの出逢いや教会のシーンは素晴らしく、その後の怒涛の展開を含め、思わず涙がこぼれた。
ジョエルのゴスペルでの歌声はトリハダもの!
ストーリー、キャストともに本当に素晴らしかった。
人種や宗教、9.11後の偏見や差別、アスペルガー症候群への理解等、多くの強いメッセージが込められていて、ボリウッド映画の底力を見せつけられた。
心に残ったハーンの母親の言葉
“この世にいる人間は2種類だけ
よいことをするいい人と悪いことをする悪い人
人の違いはそれだけ
他は何も違わない”
“マダム・イン・ニューヨーク”や“きっと、うまくいく”もそうであったが、ボリウッド映画を観ると、とても温かい気持ちになる。
次もまた楽しみだ。
※ラストのアメリカ大統領、オバマさん?
これは似てなかったなぁ。