演劇志望の高校生リチャードは、ある日、ブロードウェイで今をときめく演出家オーソン・ウェルズと出会い、幸運にも1週間後に上演予定の端役に採用される。
憧れの演劇界の舞台裏で、リチャードはウェルズのとてつもない才能とカリスマ性に魅せられ、傲岸不遜な独裁者ぶりに翻弄される。
そして魅力的な年上の女性にも恋をするが…。
オーソン・ウェルズが舞台に情熱を燃やしていた頃を描いた作品。
オーソン・ウェルズと出会い、彼の作品に出演することになった青年の話です。
オーソン・ウェルズの自伝的な映画を、あえて別の人(青年)を主人公にして作ったって感じですね。
私がオーソン・ウェルズを知ったのは、大学に入り、フランツ・カフカにハマり、『審判』を観たのが最初だったかな…確か。
彼の作品を知りたいなら、『市民ケーン』や『第三の男』と合わせて、この3作品だけ観とけば十分だと思う。
で、この映画なんですが、ザック・エフロン+『スクール・オブ・ロック』の監督作品ということで期待して鑑賞しましたが…。
それなりにおもしろかったけど、よくよく考えると???
この作品の原題は直訳しなくても『僕とオーソン・ウェルズ』である。
主人公が勝手に事務の女性を彼女と言っている青二才なので「彼女」は余計だが、なんとなくバランスを取りたかったのだろう。
タイトルから恋愛映画を期待している方にはおすすめしません。
この作品は、最後はフワッと「それも青春」という感じで良い雰囲気で終わらせてはいるけれど、主人公がここで得た教訓が、「暴君には逆らわない方がいい」というものだとしたら、最終的に残るものがあまりに苦すぎる。
というかここで描かれたウェルズが嫌な奴すぎて、リンクレイター監督は彼に何か恨みでもあるのか?と勘ぐってしまうほど。
スクリーンから彼のカリスマ性は伝わってこなくて、ただ傍若無人な小太りのおっさんにしか見えなかったです。
女をとっかえひっかえし(妊娠中の女房にバレないよう)、キューバ産の葉巻をふかしていてどうしようもない。
あのプロデューサーとして劇団を支えていた俳優さんの方がよっぽど説得力がある。
とはいえ、彼らの未来と激動のアメリカに思いを馳せたくなる作品ではありました。
(でも、この後世界大戦真っ只中になっちゃうんだよなぁ…。)
映画はいまいちだったけど、ザック・エフロンはこの頃から良い役者でしたね。