もとまち

ベルイマン監督の 恥のもとまちのレビュー・感想・評価

ベルイマン監督の 恥(1966年製作の映画)
4.3
ベルイマンによる超怖い戦争映画。終始邪悪で鬱々としたムードが漂ってて震える。他人の悪夢に出演しているみたいだ、と作中でリヴ・ウルマンが言っていたように、反戦モノと言うよりかは病んでる人の精神世界を一方的に見せつけられているような印象が強い。拷問を受けた人々が押し込まれている一室を映したシーンが厭さの極みで、これはもうマジで病的としか言えない。幼稚園か小学校の教室を改装して使っているのか、壁には子供の描いた落書きのような絵が貼られていて、そんな中で人々が血を流して苦しんでいるさまが淡々と描かれる。診察にやって来る医師の冷たさもキツい。どうにもならないままフッと画面が暗転するラストも、醒めない悪夢を見ているかのような後味の悪さを残す。神もない、愛もない、確かにあるのは死とエゴイズムだけ...というベルイマン作品すべてに通底するテーマを、「戦争」という題材を通して分かりやすく描いているので、非常に見易い映画ではあると思う。
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