ベルイマン監督の 恥の作品情報・感想・評価

「ベルイマン監督の 恥」に投稿された感想・評価

◎ 戦争という危機的状況や臆病なマックスとの対比なのかリブ・ウルマンが非常に美しく映っているように感じました。
戦争とそれによって崩れていく夫婦の関係。いや戦争とか関係なく壊れてたのかも。

戦争中という設定なので爆撃機とか出てきてベルイマンらしからぬ激しい映像もあり、カメラのぶれ方やなんかもやたら動的。

亡くなった母の絆創膏の話、誰かの悪夢に出演してるみたいという一連のセリフなどが詩的で妙に頭に残る。
Kir

Kirの感想・評価

2.0

このレビューはネタバレを含みます

ある夫婦が内戦に巻き込まれる話。

そんな世界と人間に絶望しながらも、結局は家族が大事だし、生きていくためには誇りを捨て、恥を晒さなければと言うことなのだろう。

はっきり言ってオチまでつまらないけど、監督はその設定やテーマに対する機微な心情の見せ方が一貫していて上手い。

やはり流石だなぁと思う作品です。
T

Tの感想・評価

3.9
夢は願望。夫は昔いた楽団を思い、妻はまだ見ぬ子供を思った。しかし、そこにもう夫の姿はないんですねぇ〜。
parkoldies

parkoldiesの感想・評価

4.2
人間の弱さと醜さ。
本来は弱く臆病なはずの夫は銃を手にした途端、人を殺す。1度目は躊躇しながら、2度目は躊躇なく、そして略奪も行う。これは戦争が彼をそうさせたのか、内なる欲望が表面化したものなのか。
終始絶望的な状況下で人間は恥じることなく生きるために醜くなる。
c5

c5の感想・評価

3.8
◯『恥』 別題:『ベルイマン監督の恥』

◯思いもよらず戦争映画でした。もっといえば戦争によって愛さえも歪められてしまった夫婦の物語です。だんだんと地獄に陥っていくさまは見事。
厳格な室内劇を飛び出た戦争ドラマでも根本的なテーマは一貫している。ファシストも解放軍も善良な市民にとっては同じ敵であるという揺るぎない反戦意志。誰が何の為に戦っているのかすらも分からないという極めて被害者的な切り口から、そんな環境下に置かれた人間の闇とお決まりの人格崩壊。目蓋に焼き付くような爆撃フラッシュや轟音も低予算を一切感じさせないクオリティで、リヴ・ウルマンが自身の出演作で特に誇りを持っている一本だそうだ。
とし

としの感想・評価

4.2
恥というタイトルからして人間の生業の物語かと思ったが戦時中における夢も希望もお金もない極限状態の夫婦の話だった。 だんだん剥き出しになっていく人間の本性が観ていて面白い。 「根性なし」と罵られてた旦那が市長の金を盗んで市長を殺したことをきっかけにどんどん野生的になっていく様子が絶望的。 人間なんて何らかのきっかけさえあれば狂ってしまうんだなと感じた。
架空の国の架空の内戦が舞台の、序盤だけはベルイマンらしさがあまりない本作。
内戦してる国、ピノチェトとチャウシェスクが同じ国で生まれたのか?とでも言うべき程過激で、主人公夫婦がこの過激さから逃れるために僻地にまで逃れてきたことは観ててすぐわかる。
物語を観進めるうちに、まあいつも通りのベルイマンに戻っていくのだが、50年代から変わらない平常運転で人間の露悪性をさらけ出していた。

タイトルの恥とは誰のことを指すのか。
ここはもう「分からない」と言っておいた方が確実であると思う。
過去にどのようなバックボーンがあれど、善良であれど、戦争という環境下では際限なく残虐になれるし、作中で平然と人を拷問死させる政府軍、蛮行を働き家々を焼く解放軍、そのどちらもが際限なく残虐になった結果かもしれない。
「環境がそうしたのか」、「環境は関係ないのか」、これも映画内では到底解き明かせない命題だろう。
結局、その環境が出来上がらないのが一番いいのだが。

昼に観た「狼の時刻」より大分重い話の割りに、観やすかった。
下手したら「第七の封印」の次くらいに好きかも知らん。
午後

午後の感想・評価

5.0
暴力と恥辱に満ちた戦争に呑み込まれ、変貌していく夫婦の話。冒頭、長引いた戦争を逃れた元音楽家の夫婦は農園を営み、ラジオが壊れたら戦争の音は聞こえなくなる。近所の友人がラジオで聴いた情報、日替わりで勝利が目前であったり敗色濃厚であったりする、信用ならない戦況をぼんやりと伝え聞くだけだ。些細な諍いは絶えないが、育てた桃が良い値段で売れればはしゃいでワインを買いに行く。
それが次第に街に軍用車が増え、不穏さが漂ったと思うと怒涛のように理不尽な暴力が押し寄せてくる。昨日は善であった行動が、今日は悪として断罪される。刻々と変化して見通しのつかない、ままならない状況にされるがままに押し流されていく夫婦。家に軍隊が次々と押し入ってくる描写が怖い。他のベルイマン作品に比べて、手持ちカメラによる撮影が多く、後半の場面は常に動揺や不安、緊張が充満している。
シドー演じる心臓病持ちでナーバスな夫が、鶏を殺すのにも躊躇していたのが、生き延びるために暴力に手を染めることをためらわなくなる後半、快活であどけない表情を見せていたリヴ・ウルマンの顔が、疲れ果て、色を失くしていくその変化。これはきっと彼女にしか出せないし、ベルイマンにしか撮れない顔だろう。
誰かの悪夢に出演しているような気がする。その人が目覚めたらどうなるの?という台詞や、心不全で亡くなった母を訪ねた時、亡骸の手指に絆創膏が貼ってあり、生きているようだった、という話の生々しさ。市長が家に来るシーンの地獄のような空気。
穏やかだった前半から動乱の戦争描写を経て、再び不気味なほど静かになるボートのシーンで、顔の映らない水死体をオールで掻き分けるシドーの顔が忘れられない。
今作では、宗教的な側面は薄いが、人間の恥部を厳しく見つめたベルイマンの視線は冴え渡っている。傑作。
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