ぼぶ

幸せなひとりぼっちのぼぶのレビュー・感想・評価

幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)
4.4
小さな町の小さな集合住宅が主な舞台。
そして主人公はそこに住むルールに厳しく、頭が固くて、すぐ悪口言うし、不愛想で、偏屈なお爺さん。
だいたい偏屈になるには理由がありそうなものだけど、どうやら奥さんが亡くなってることと、だから後を追いたいから死のうとしてることだけはわかっても、背景や経緯はぼんやりしていて、結構終盤まで明確にはならない。
でも、それが良い。
色んな理由がわかった時、それはこのお爺さん、オーヴェがひとりぼっちじゃなくなった時であり、ひとりぼっちへ向かった時だから。

基本的に家や駐車場や通り道など、決まったセットでの同じカットがあるにも関わらず、登場人物や時系列の前後などでいくつものシーンになっていくのが映画好きとしては面白い(ex.オーヴェの家の中だけど、ソーニャと越したばかりの時は本棚が少なかったり、あっちの家をこっちから見ると…とか)。
また、ソーニャは綺麗さ&可愛さと賢さとユーモアと思いやりと…色々兼ね備え過ぎてて素敵だったし、だからこそこの2人は眩しかった。

車の話の時だけ饒舌だったり、生きてるって感じだろ!とか、正直に生きるのは難しいからそのために少しだけ背中を押してあげるとか、運転教えるとか、ゲイ泊めるとか、ミルフィーユ食べるとか、小エピソードがどれもこれも良い話だった。
死のうとして全然死ねないのも笑える。笑

きっと最後は胸がスッキリするし、どんな気持ちの人が観ても得るものがあると思う。
愛が溢れてたんだな、お爺さん名演技だぜ、これは本当に。

とりあえず、ソーニャみたいな人に会えそーにゃ電車の向かい合う座席で、横になるところから真似したくなる一作。
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