Daisuke

カノンのDaisukeのレビュー・感想・評価

カノン(1998年製作の映画)
4.3
[個の牢獄]

延々と自問自答する男のひとつの結論までの、
ある意味で「ロードムービー」のような映画だと感じた。

しかし、通常のロードムービーは周りの環境と直接触れる事で何かの損失を埋めたり、新しい視野を広げるのに対し、
この物語は、常に自分とだけ向き合い誰とも繋がる事はない。

彼は魂が人間の体という「殻」に閉じ込められてしまった事に気がついてしまってるようだった。
そして自問自答の果てに、自分自身の身勝手な結末をイメージして終わる。

映画として成立してないように感じる人もいるかもしれないが、
けれど自分には、誰もが持つ苦しみが描かれているように思った。

問題は「その苦しみ」に自分はどう立ち向かっているのか。

涙が出る作品だった。
Daisuke

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