[個の牢獄]
延々と自問自答する男のひとつの結論までの、
ある意味で「ロードムービー」のような映画だと感じた。
しかし、通常のロードムービーは周りの環境と直接触れる事で何かの損失を埋めたり、新しい視野を広げるのに対し、
この物語は、常に自分とだけ向き合い誰とも繋がる事はない。
彼は魂が人間の体という「殻」に閉じ込められてしまった事に気がついてしまってるようだった。
そして自問自答の果てに、自分自身の身勝手な結末をイメージして終わる。
映画として成立してないように感じる人もいるかもしれないが、
けれど自分には、誰もが持つ苦しみが描かれているように思った。
問題は「その苦しみ」に自分はどう立ち向かっているのか。
涙が出る作品だった。