茶一郎

マーゴット・ウェディングの茶一郎のレビュー・感想・評価

マーゴット・ウェディング(2007年製作の映画)
3.9
【記録】
 結婚をする妹に息子を連れて久々に会いに行く作家主人公。姉妹、息子、恋人、様々な登場人物の織り成す不協和音をコミカルに描く。
 大人になれない大人「オトナ子供」が一度は世界から逃避をするも、「もはやここまで」という逃避の果てで大人になろうとする物語というノア・バームバック作品の共通モチーフがようやく今作で出てきている印象を受けます。
 前作=処女作『イカとクジラ』は、息子パートを『大人は判ってくれない』、親パートを『勝手にしやがれ』を置き換えた作品だった一方で、今作はトリュフォー〜ゴダールと同じくヌーヴェルバーグ系譜のエリック・ロメール監督の「休暇」をベースにした作品と同様の味わいを感じます。特に、噂が第三者へと無責任にこぼれ、拡散されていく様子は『海辺のポーリーヌ』に似た何かがあります。(今作の海が『海辺のポーリーヌ』ほど美しくないのも逆に良い)
 幸運な展開と不運な展開が一気に来るラストは、明らかに今までの物語規模を超えるゴージャスなディザスターの画も相まって非常に好みでした。
茶一郎

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