スペインの宮廷画家ゴヤ、というよりも、彼の絵のモデルとなった、異端審問官(ハビエル・バルデム)や、商家の娘(ナタリー・ポートマン)が時代のなかで翻弄されていくようすを描いた歴史物。
さすが「アマデウス」のミロス・フォアマンだけあって、ゴヤのことも、スペインのことも何も知らずに鑑賞したが、歴史物としての格調を失わず、それでいて分りやすく、おもしろく鑑賞できた。
ゴヤはあくまでも傍観者に過ぎないので、そのぶん「アマデウス」よりは、ややお話の緊張感が拡散した感はある。とはいえ、さいごまで飽きさせない手腕はお見事。
なにより、14年も投獄されるボロボロの汚れ役を演じきったナタリー・ポートマンの役者魂に胸熱。
余談ですが、最近の研究によると、例の有名な「巨人」の絵は、ゴヤではなく彼の弟子の手になるものだそうです。