ベビーパウダー山崎

スキャンダル・スパイのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

スキャンダル・スパイ(1984年製作の映画)
3.0
ナンシー・アレンがタブロイド紙の記者をやりながら市長選の選挙スタッフとしても働く「昼は淑女、夜は娼婦」的なコメディ。昭和の東スポみたいなタブロイド紙では風俗と犯罪を追いかけ、選挙スタッフでは街からエロスを追放しようとする板挟み。結局はその市長とタブロイド紙が繋がっていて、一つの巨悪と対峙するナンシー・アレンという分かりやすい図式で決着がつく。動物の着ぐるみをまとい歌ってタップダンスまでするナンシー・アレンが可愛くて最高。
着ぐるみの強盗団とか金持ちが集まる仮面パーティとか、日常に溶け込む変態性はポール・バーテルらしい。バーテルの映画を見ているとマトモじゃない、社会から外れてしまった人への愛情をいつも感じる。大衆の目線よりもっと下から金持ちや権力者をバカにして、どうしようもない負け組が最後には勝利する映画が多いような気がする。ヒッチコックなみに自分の映画に顔を出すバーテル。今作は車椅子に乗ったテレビディレクター役でラストに出演していたが、この特異なキャラクターがバーテルの作家性をよく現していると思う。