LalaーMukuーMerry

稲妻のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

稲妻(1952年製作の映画)
3.9
林芙美子の文芸小説を映画化した1952年の古ーい作品。

ヒロイン(君ちゃん=高峰秀子)は、4人の兄姉の父親がみんな違うという、ちょっと複雑な家庭に育った年頃の末娘。結婚した姉たちの暮らしぶりや、とりわけ母親を見てきて、結婚に対してとても懐疑的になっている。そこへ、姉たちが結婚相手を探してきて合わせようとした。一目みて、全く気に入らない。「あーぁ、私はなんて不幸なんだろう」 思うのは、いつもそのことばかり…。

時代を飛び越えて、現代の目線から敢えて言わせていただきますと…

君ちゃん、そんなこと言ってるけど、あなたは幸せだと思いますよ。日頃の思いのたけを爆発させてお母さんに当たったら、気が晴れたでしょ。あれは言いすぎじゃないかヒヤッとしましたが、お母さんも苦労しているだけあって器が大きかった。家族が多くて気づかいもあるだろうけれど、言える相手がいるだけ幸せです。

想像できないかもしれないけれど、近頃はみんな夜遅くまで働いて帰宅するのが遅いから、一家団欒というものがなくなっているのです。勝手にゲームやらTVやらを一人で見るようになって家族の会話がすごく減っているし、そもそも2~3人の小さな家族ばかりになっているので、悩みを相談したり、気持ちを爆発できる相手もいないのです。

一人暮らしを無断で決めて実行するとは思い切ったことをしましたね。そして下宿のお隣の素敵なお兄さんと出会えてよかったですね。気に入らないあの男はキッパリと断りなさいよ。時々はお母さんのところに帰ってあげてね。

ではまた、お幸せに…

PS. ブドウの房を持っておしゃべりしながら食べてもいいけれど、後ろの中庭に皮をぽいぽい投げ捨てるの、あれはダメっすょ。