☆ロバート・アルトマン傑作選☆
こちらも主人公は女性。
童話作家のキャスリンは夫が浮気しているという謎の電話を受け動揺する。
帰宅した夫を問い正す彼女だが、彼女には精神疾患があると観ている私たちは気付く。
こうなると何が現実で何が妄想なのか観ている者は混乱し、映し出される映像に振り回されて「何がなんだか分かんない!」となる。私がそうでした。
最終的に「全ての語り手がキャスリンだ」という事に着目すると何となく「そうゆう事か!」と分かってくる。
自分ではどうにも出来なかった欲望、彼女の中にあった罪の意識が段々と彼女を追い詰めていったのかも知れない。
夫はチャーミングに描かれているのに、浮気相手がどいつもねちっこくて魅力的では無かったな…というのもその裏に隠され計算され尽くした見えない何かがあるんだと思う。
観賞後には色々な迷宮に入り込ませてくれる不思議な作品。
脚本もアルトマン1人だという事に驚く。
70年代初頭、女性を主人公にしてここまで内面を描いたのは実験的で、とても少なかったと思われる。
タイトルロールでジョン・ウィリアムズの名は読み取れたのですが、ツトム・ヤマシタは見落としてました。
不穏な画面に流れてくる尺八の音色がとても生きてます。
登場人物6人犬2匹のみ、という極めてドメスティックなのも一つの着目点だ。笑