柏エシディシ

ピーター・フォークの ビッグ・トラブルの柏エシディシのレビュー・感想・評価

2.0
カサヴェテス本人が自身のフィルモグラフィから除外したいと公言していたらしい遺作。
確かにどこまでがアンドリュー・バーグマンの撮影で、どこからがカサヴェテスの撮影なのか俄かには判別し難いし、いわゆる"カサヴェテス"滋味には欠ける。
ワイルダー「深夜の告白」を下地にしたという脚本も確かに褒められた出来ではなくグダグダである。
しかし、むちゃくちゃやっているピーター・フォークや、それを受けるアラン・アーキンの演技など、なんとも憎めない不思議な魅力がある。
ヒロインのビヴァリー・ダンジェロもキュートだ。
ハリウッドに背を向けた「インディぺデント映画の父」の遺作が、何ともハリウッドらしい製作に振り回された挙句の"失敗作"というのも皮肉に過ぎるが、事態に振り回される主人公はそのままカサヴェテス自身にも重なるし、長年、同業者の友誼や家族の協力の元、作品を撮り続けた男がピーターフォークという盟友のために雇われ仕事でも晩年に報いようとしていたのは良い話だ。
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