イペー

聖者の眠る街のイペーのレビュー・感想・評価

聖者の眠る街(1993年製作の映画)
3.5
マシューはホイミをおぼえた!

NYを舞台に、孤独な青年とベテランホームレスの心の交流を描くヒューマンドラマ。

心の病を抱え、家族にも見放された青年、マシュー。住む場所を失い、ホームレス暮らしを余儀なくされます。

彼が宿泊所で出会ったホームレス、ジェリー。
バイタリティと優しさに溢れたジェリーに励まされ、マシューに芽生える、生きることへの希望。
やがて二人は、父と子のような関係を築き、共通の夢を抱くことに。

お互いに支え合いながら、歳も人種も違う二人が苦しい現実を生き抜く姿を、淡々と追い続けます。

飾り気の無い、真っ直ぐな作品です。
大袈裟に感情を煽ることもせず、地味ながら丁寧な作りで好感が持てます。

傷付いたマシューを演じるマット・ディロン。仕草や表情で語る繊細な演技に惹きつけられました。
ジェリーを演じるダニー・グローバーも、頼もしくて優しい先輩ホームレスを好演。

決してお涙頂戴の凡作ではありません。
けれど…図らずも感じてしまう違和感。
自分の感受性が鈍い、というのもあるかもしれません。以下蛇足。

物語の中盤で、マシューがヒーリングの奇跡を発揮する場面。
彼がホームレスの聖人となる瞬間、なんですが…要らないと思うんですよ、このくだり。

急にスピリチュアルな雰囲気です。
〈癒しの能力=聖者〉というのが、どうもねえ…。
前半で丹念に積み上げたマシューの人物像を裏切ってる気がします。

ドン底から這い上がろうとする二人の奮闘を描く、暖かさと切なさが同居する物語。
大好きな『真夜中のカーボーイ』にも似た作品ですが、途中で躓いちゃったので、最後まで立ち直れず。

…結果、泣けなかったな。
最近、涙脆くなりまして、アホみたいにすぐ泣くんですけどね。
涙とダジャレが、止まらないんです。
そんな自分を思ったら、涙が…。