イペー

シェイプ・オブ・ウォーターのイペーのレビュー・感想・評価

4.3
『スリービルボード 』があまりに素晴らしかったもので、アカデミー賞の対抗馬と目される本作も、「こりゃ流石に太刀打ちできんだろう」と高を括っていた自分は、全くもって未熟者です。

監督が幼き日から、大事に大事に慈しみ育て、やがて抱えきれないほど大きくなった"愛"が、作品の隅から隅まで染み渡っておりました。ビッチャビチャでした。

"愛"はまさしく"水"の姿を借りて、スクリーンのこちら側にいる我々をも包みこむかのよう。
届いてるよ!デルトロ先輩!

公開中の作品なのであまり色々書けませんが、映画館のシーンがいくつかあって、どれも涙腺決壊でした。

誰もいない劇場で、ひとり立ち尽くしてるんだよ、彼が…。
思い出すだけで…うぅ…。

個人的にはマイケル・シャノンが演じたストリックランドに注目して欲しいですな。
まあ憎たらしいヤツなんですけど、デルトロ先輩の優しさは悪役の描き方にさえ表れてます。

「容れ物に入れる」、言い換えれば「形を与える」ことでしか"愛"を認識できない弱さ。癒えない渇きに苛まれ続ける苦痛。

性格や生い立ちまで、何気ない行動のひとつひとつにヒントが隠れてたりもして。
車とか、コップとか、ガムとか。詳しくは言えないけど。
ウマい、ウマいなぁ…。

シンプルで力強くも繊細で、全てにおいて抜群の完成度。
美術から音楽から、とにかく心地良いんですよ。

全部はチェックできてませんが(一部虫のせい)、過去作にあった"アクの強さ"が"コクの深さ"に昇華されてるのも良いところ。
ギレルモ・デルトロ最高傑作だと言い切ってしまって間違いないでしょう!

…実は一昨日に鑑賞いたしました。
アカデミー賞にさほどこだわりは無いんですが、例年になく票が割れそうだし、いち映画ファンとして予想しとこうかなと思って。ギリセーフな時間ね。

ズバリ、作品賞は…






『スリービルボード 』


…じゃあそっちをレビューしろよ!…と自分でも思うんですけど、鑑賞から二週間くらい経って、まだ咀嚼できてないんですよねぇ。
いやホントに甲乙付けがたいんですけど、もう同時受賞で良くないすか?
イペー

イペー