華やかなりし往年のハリウッド。
散らかった夢の残骸に取り囲まれ、負け犬たちが繰り広げる
『地獄のラ・ラ・ランド』なのであります。
欲望渦巻くショービジネスの世界、その伏魔殿っぷりを描いた作品は数多くありますが、本作はその中でもひときわ異色、あまりにも強烈。
監督はジョン・シュレシンジャー。
『真夜中のカーボーイ』然り、いわゆる"イタい"人間を描くのが抜群に上手い。
カレン・ブラック演じる売れない女優を筆頭に、過去の栄光にしがみつく哀れなボードビリアン、世間知らずで気の弱い資産家、etc、etc。
どこか空虚で、かなり歪な人間たちが迷走する姿を、付かず、離れず、でカメラは捉え続けます。
そこに"ドラマ"が生まれてしまうことを慎重に回避する…かのような距離感。
なっかなか核心に至らない物語にジリジリさせられ、微妙にパースが狂ったスケッチのような場面場面に、さらに不安を掻き立てられ…。
最後の最後に待ち受けるのは、桁違いのアンチカタルシス。
薄暗く蟠っていたエネルギーが一気に噴出。
ド、ドナルド・サザーランドが…ア、アワワ…そりゃあ、もう…
「アポカリプスなう‼︎」
ですよ。
人間の厭な部分がこれでもか〜!なので、オススメはし辛いですが、個人的には文句なしで傑作認定。
下手なホラー映画より、よっぽど怖いっス。
…子供の頃、友人のお弁当にイナゴの佃煮が入っていて、周囲の話題をかっさらってました。
お裾分けで前脚を頂戴し、中々飲み込めなかった、それが私のイナゴの日、でございます。