fujisan

裏切りのサーカスのfujisanのレビュー・感想・評価

裏切りのサーカス(2011年製作の映画)
3.8
難解。でも、理解したいと思わせる名作でした。

2011年のヨーロッパ映画で、ジョン・ル・カレの名作スパイ小説の映画化作品で、主演のゲイリー・オールドマンがアカデミー賞主演男優賞を獲得するとともに、合計三部門を受賞した作品。

観たいと思いつつ、難解との噂に躊躇して観あぐねていた映画でしたが、劇場で観ることができたので、思い切って観に行ってきました。

・・が、最初の印象は、すごく面白かったけど、すごく難しい・・・、でした。

なにせ、日本公開当時のキャッチコピーが、
『一度目、あなたを欺く。二度目、真実が見える』、
複数回観ると安くなる”リピーター割引”キャンペーンもやっていたというほどの筋金入りの難解作品。

ただ、難解でありながら、たしかに複数回観たいとも思わせる作品で、観終わった後、帰りの電車であれやこれや考えつつ、自宅に戻ってすぐに配信でもう一度観たほど、魅力的な作品でもありました。



ストーリーは東西冷戦真っ只中の1970年代、イギリスの秘密諜報機関MI6(通称サーカス)に潜り込んだソ連の二重スパイ(通称『もぐら』)を探し出すスリラー作品。

元幹部の一人でありながら、罠にはめられ失脚し、組織を去ったスマイリー(ゲイリー・オールドマン)が、新たな特命を受け、組織幹部五人の中で誰が二重スパイなのかを追求していきます。

イギリスのスパイものといえば『007シリーズ』ですが、本作には派手なアクションシーンは一切無く、名俳優たちのスリリングな会話劇によって複雑なプロットを楽しむ映画になっていました。

なにせ、俳優たちが凄い。

・ゲイリー・オールドマン(特殊メイクで演じた『ウィンストン・チャーチル』など)
・コリン・ファース(『英国王のスピーチ』、『キングスマン』など)
・ベネディクト・カンバーバッチ(『イミテーション・ゲーム』、『クーリエ』など)
・トム・ハーディ(『マッド・マックス 怒りのデスロード』など)
などなど、今やそれぞれ主演を張る俳優の数々。
特にまだ若いベネディクト・カンバーバッチやトム・ハーディの活き活きとした演技は魅力的でした。



本作はネタバレ厳禁の映画ではあるのですが、ここまで難しいと、答えが欲しくなる作品でもあって、私が二回観た後に復習したサイトのURLをコメントに貼っておきます。

あとは、BL要素ですね・・
本作は、上記の通り、主な登場人物ほとんどが男性の”男臭い”映画なのですが、時おり感じさせる同性愛的なシーンが印象的でした。

それは、ベネディクト・カンバーバッチ演じる職員が私生活では男性と同棲してるといった分かりやすい表現から、男性同士のスカッシュシーンや更衣室のシーンが長尺で流れたり、男性同士で池で泳ぐシーンなどといった”匂わせシーン”まで、とにかく”男臭い”映画でもありました😅

相当頭が疲れた映画でもありましたが、”ちゃんと答えがある”映画でもあるので、考察好きの方はハマるはず。オススメです!
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