ひろ

サン・ジャックへの道のひろのレビュー・感想・評価

サン・ジャックへの道(2005年製作の映画)
3.8
コリーヌ・セロー監督、脚本によって製作された2005年のフランス映画

フランスからスペインに通じる1500キロにも及ぶ巡礼路。世界遺産にもなっている道をひたすら歩く旅に、人間ドラマを交錯させた素敵な映画だ。

いい歳なのに子どもみたいにケンカをする険悪な兄弟。それぞれの個性が強すぎる気もするが、フランス人らしい気質を感じる設定でもある。他にも異なる人種や宗教を交えた仲間との旅は目が離せない。旅をして調和が生まれるなんていうのはありきたりだが、世界遺産にもなっている景色の中を歩いていたら、価値観なんて変わってしまうかもしれない。旅という雰囲気をしっかり映画で映し出しているから、登場人物の心情の変化に説得力が生まれるのだろう。

「赤ちゃんに乾杯!」や「女はみんな生きている」など、コリーヌ・セロー監督が描くドラマは、ユーモアがあるし、女性監督らしい優しさを感じる。ジャン=ピエール・ダルッサンといった個性派俳優の魅力も引き出されているし、エスプリが効いたフランス映画らしいフランス映画だ。

人生は旅だとよく言われるが、この旅はあらゆるものが詰まっている。淡い恋もあったり、悲しいこともあったり、たくさんの人生が交錯し、同じ目的地に向かう。こんな旅をしたらきっと人生観が変わると思う。旅をしたくなったし、歩きたくなった。そんな気持ちにさせてくれる素敵な映画だ。
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