ハリウッドでなかなか売れない俳優がラジオを盗まれたことをきっかけに友人と自警団を結成、泥棒達を警察に突き出す度に顔を明かさないビデオを残し徐々に話題となっていく・・というジョー・ペシとクリスチャン・スレーター主演でバリー・レヴィンソン監督脚本製作の社会派コメディ。

ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームを目隠しで歩きながらそこに刻まれた名優達の名前を一人一人当てていく冒頭からジョー演じる主人公が如何にハリウッドに精通し、そこで何年もくすぶっているか伺えるもの。

コメディとしては序盤のすぐクビになるレストランのウェイターで働いた時の「スクランブルエッグが欲しかったの！」と文句言う客に素手で目玉焼きをぐちゃぐちゃにしてスクランブルエッグにする辺りがピークな気がしなくもないですが、やっと大役を貰えたと思えばキャンセルされたり大金はたいて大通りに出した自身の広告を見られて「広告の方がマシだな」と罵られたりと、ハリウッド残酷物語を時にコミカルに、時に少し切なく描いてくれます。

順調に名を上げるも、麻薬取引現場を撮影する辺りからはもしかするとよりスリリングな方向へストーリーは展開するかと思えばそうでもなく、カーチェイスも有りますが尻切れトンボ、クリスチャン演じる相棒も多少役割はあれど基本ただの付き添い人的存在に終始している等不満も有りますが、華やかなハリウッドに囚われた夢追い人の哀愁はムーディーなBGMの代わりにパトカーのサイレン音と銃声が鳴り響く中恋人とLAの夜景をバックに踊るシーンで特に際立っており、映画館に立てこもる終盤から「映画では空砲を使ってる」「死んでたらこれは観れなかったよ」と迎えるラストは主人公が固執していた映画の実体や役を演じて作品を残すということを通じて生きることを肯定する良いメッセージ性を感じ取る事が出来ました。

エンドロール直前には冒険家役で有名なあの大物がカメオ出演（ヒントはラストネームというか苗字がアメリカの大手自動車メーカーと同じ）。挿入歌ではフランス語ラップも聴けるグールーの「Le Bien, Le Mal」がお洒落。

恋人の貯金を勝手に使ってサンセット大通りのバス停に自分の広告を出すスター志願のジョーペシが覆面の自警団としてスターになるのだが、結局誰にも相手にされないスカムバッグに寄り添った心温まるコメディでまあ見事な脚本、みんな好きそう。最後に警察に包囲されて見る夢のシーンが良い。注文したのはスクランブルエッグよ！と怒る客の目玉焼きを素手でかき混ぜる🍳

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