ひろ

タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密のひろのレビュー・感想・評価

3.3
ベルギーの漫画家エルジェによるバンド・デシネ作品「タンタンの冒険旅行」シリーズを原作とし、スティーヴン・スピルバーグ監督が映画化した2011年のアメリカのアニメーション映画

スピルバーグとピーター・ジャクソンが共同製作でベルギーの人気漫画「タンタンの冒険旅行」を映画化する。しかも、スピルバーグ初となるアニメーション映画であり、初の3D映画でもある。彼らの作品を観れば解るように、彼らの生きがいは子供たちに夢を与えることだ。これはそんな彼らの思いが詰まった素敵な作品だ。

正直、スピルバーグは実写をこよなく愛する監督だし、デジタル技術や3Dを嫌っているから、ついに大衆迎合してしまったのかとショックだった。でも、あくまでアニメーション映画として監督することでよしとしたらしい。ピーター・ジャクソンお得意のモーション・キャプチャーを取り入れたことにより、生きているアニメーションに仕上がったと思う。

子供の頃に誰もが冒険小説や漫画を読んで、ワクワクしたことがあるだろう
この映画の冒頭も、そんなワクワクを感じさせてくれる。大人だって冒険に出たいのだ。この映画はそんな大人の気持ちも一緒に、冒険の旅に連れ出してくれる。モーション・キャプチャーによるリアルな動きが、アニメーションとの距離感を縮めてくれる。思っていたより違和感がなく、むしろ楽しめる。

アニメーションとはいえ、命を吹き込むモーション・キャプチャーと声を担当する俳優の存在は欠かせない。タンタンを演じるのは「リトル・ダンサー」のジェイミー・ベル。あの少年が成長して、また少年を演じているのは面白い。酔っぱらってばかりのハドック船長を演じたのはアンディ・サーキス。言わずと知れたモーション・キャプチャーの第一人者だ。この人は本当にすごい。

ハドック船長の宿敵サッカリンをダニエル・クレイグが演じている。これはユニークなキャスティングだった。最高なのは、見た目がそっくりであまり役にたたない刑事デュポンとデュボンだ。この2人の掛け合いは笑っちゃうんだけど、演じているのがサイモン・ペッグとニック・フロストと知って納得。コメディの最強コンビなんだから面白いに決まってる。脚本に盟友エドガー・ライトも参加してるし、楽しませることを優先したキャスティングなのかな。

モーション・キャプチャーのアニメーションだし、実写フィルム主義のスピルバーグ・ファンからしたら受け入れられない人もいるかもしれない。でも、子供の頃にそんな小難しいことを考えてアニメを観ていたか?って話ですよ。素直に冒険して、素直に楽しんで、笑って日常に帰りなさいな。
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