踊る猫

ラスト・ホリデイの踊る猫のレビュー・感想・評価

ラスト・ホリデイ(2006年製作の映画)
4.4
ホットな映画だと思った。理知的に詰めて考えていない(そんなことを言い出したら、この映画は御都合主義だらけだ)。伝えたい哲学があって、それをユーモラスにかつストイックに伝えることを目指している。だからストーリー自体は何処かで観たようなものなのだけれど、気が利いた台詞が浮き上がって来るので観ていて退屈しない。特に金八先生似の(失礼!)シェフの台詞が耳を惹いた。人生、始まりではなく仕上がり……『スモーク』の印象しかなかったウェイン・ワンなのだけれど、なかなか人情噺を撮ることには長けているようでここまでベタな展開を堪能させてくれたのは天晴としか言いようがない。それだけに、ラストは文字通り「蛇足」なので点を引かせてもらった。私もまた「why me」と天に向かって呟きたくなることがある。何故自分だけが……だが、忘れてはいけないのはどんな悪運も幸運もその人だけに与えられたものなのだということだ。頭でっかちではないストリートの哲学が活きた、隠れた名作だと思う。落語が好きな方に。
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