踊る猫

Love Letterの踊る猫のレビュー・感想・評価

Love Letter(1995年製作の映画)
3.8
今のようにインターネットでサクサクとメールやテキストの送受信を交わす時代ではなかった、そんな古き良き時代のストーリー(何せまだ「ワープロ」が活躍しているのだから)。だが今でも古臭さをどぎつく感じさせずに魅せてくるのはこの映画が古典的な完成度を保っているからだろう。主人公たちは「文通」を交わし、片方にとっては亡くなった恋人を、そしてもう片方においては彼女の人生にアクセントを残した同級生を弔う。つまりこの映画は擬似的な「ある恋人/クラスメイトの葬式」なのだと思う。2人の「文通」が2人にとって重要だった藤井樹という男の思い出を炙り出し、そこから彼の死を背負って生者としてこれからも生き続ける決意をする……そんな爽やかな(再)スタートを描いた映画として鑑賞した。ただ、アラはないか。この映画の作中時間はどれほどに設定されているのだろう(あんなにまめに手紙をやり取りしていたら3ヶ月は優にかかるのではないか)。あるいはあんな高熱がいきなり出るわけもないし、75歳の老人があんなに元気に走れるわけもない……のだけれどそれでも「魅せる」映画なのだから面白い。
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