斬って捨てたくはない。だが、このドキュメンタリーからは肝腎の「なぜ彼女は運動に身を投じるのか」という動機と「彼女が訴えたいのはどういう問題と解決策なのか」という具体的主張が見えてこない。せいぜい「環境保護」の重要さを訴えているくらいだ。だから彼女の言葉に説得力を感じない。これじゃダメだろう……だが、それはいい方向に働いているとも言える。イヤミではなく、このドキュメンタリーは暑苦しさも汗っぽさもない。彼女の等身大の姿がそのまま映し出されているので、これまでメディアで流布された拡大された彼女の姿やコメントに辟易していた人たちも考えを改めるきっかけになるのではないか？ このドキュメンタリーを観て、自分は結局心が汚くなってしまったのかもしれないな、と思う。だからこんな感想になるのだろう。だが、手放しで無責任に彼女を褒めちぎる人々には与したくないとも思うので厳しいことを書いてしまった（彼女自身、そうした無責任な大人たちの甘さをすでに見抜いているのではないかと思うのだが）。
