踊る猫

ブレードランナー ファイナル・カットの踊る猫のレビュー・感想・評価

4.0
泣く子も黙るSF映画の金字塔にして今に至るも影響力を誇示し続けている傑作……なのはわかるのだけれど、今回観てきて「そんなに凄いかなあ」とも思ってしまう。例えば、レプリカントがなぜかくも「死」を恐れるのかに関する掘り下げが足りないというか、端的にその恐怖に共感を抱けない。人間だって「死」は怖いのだが、人工的にレプリカントを作り出してしまうほどテクノロジーが発達した時代においては「死」の色合いだって異なるのではないか、とも思う。それ以外ではレプリカントの中に存在する感情についても気になる。レプリカントがどうして感情という厄介なものを手に入れるのか。その感情があるからこそ人を恋することになりこの映画が描くロマンスが生まれるわけだけれど、そのあたりも今ひとつ食い足りないかなと思った。ラストも唐突過ぎる。とはいえ、こうした荒っぽさというか荒削りな部分が逆にこの映画を生々しい印象を感じさせるものに仕上げているとも解釈できるので、そこが痛し痒し。
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