ウサミ

天才マックスの世界のウサミのレビュー・感想・評価

天才マックスの世界(1998年製作の映画)
3.8
若いから、時間があるから、っていう事実に焦り、何かをしなくてはーって焦ることが多々ある。

主人公のマックスは、天才とは程遠い頭脳をしている。しかし、彼は驚異的な行動力と探究心があり、1日の多くを課外活動に使っている。

ウェスアンダーソンらしい「尖ってて自己中な子供と大人の邂逅」を通じ、痛いほどの青春をコミカルに描くのがたまらない。
オープニングでは、マックスが所属する数多くのクラブ活動風景が流れるが、遊び心満載ですごくワクワクした。

「尖ってて自己中な子供と大人」を繋ぐのは、クロスという女性教師。彼女との出会いから、三角関係のような構図が浮かび上がる。

若い力を最大限に活かすマックスの姿、それは時に力強く、時に痛々しい。
一方的な愛情はクロス先生には届かず、勝手に一喜一憂し、やがて周りの人間を巻き込んでいく。
自分が特別だと信じてやまない、自分の想いは必ず届くと思い込む青さは、歳をとってもきっと無くならない。大人になるというのは、その青さを隠す方法を学ぶことなのかも。

独特な感性を持ちながら、ネジが飛んでる人物をコミカルに動かす構成と、奥にあるジンワリと温かいテーマの存在が、ウェスアンダーソンの作家性を感じさせる。

しかし、あまりにマックスの行動は自己中心的で、それらをクロス先生がなんだかんだ許し、最後には素敵に手を取り合う、というのはいささか男のご都合主義的な「おとぎ話」すぎるのでは、と思ってしまった。

観た後になんだかんだ良い映画だったなー、と思わせてしまうあたり、ウェスアンダーソン映画っぽい。
ウサミ

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