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13回の新月のある年にの10000lyfhのネタバレレビュー・内容・結末

13回の新月のある年に(1978年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

フランクフルト 1978年夏、片思いの男性のために性適合手術を受けた M2F 女性と、その片思い相手、妻子、友人たちをめぐる愛憎劇。乱作監督らしい雑さが目につく(ガンマイク映っとる笑@首吊り自殺者シーン導入)が、技術的稚拙さすらもエネルギーに昇華。リアル屠殺場エグい(撮影許可も凄い)。半開きドア隙間から覗き見ショットが多く、何重にも連なったドアも(小津?)。唐突な「女学校寄宿舎入寮ダンスパーティ」に、訪問した主人公も一緒に踊る(ゴダール?)。TV やヴィデオを見るシーンが多く、チリ独裁政権批判や反戦など政治的メッセージもあれば、「これほど映画を多作できる動力源は?」「ある種の精神障害だろうね」(おそらくファスビンダーのインタヴュー)な監督自分語りも。ラスト、主人公インタヴュー録音を背景に、主人公の部屋に立ちすくむ関係者たちの間を歩き回る尼僧のショットが神。マーラー 5番 4楽章(ベニスに死す)、大フーガ 、ジャーマンノイズ/プログレ系?、アナログレコードの針飛びループまで、音楽も秀逸
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