ゆめちん

悪い子バビー/アブノーマルのゆめちんのレビュー・感想・評価

4.0
悪い子バビー/アブノーマル
 
“外に出れば猛毒で死ぬ”
 
何故本作が30年の時を経て公開されることになったかは謎ですが、1993年に製作された本作を映画館で観ることができるのは嬉しい限り。
 
身の回りの全てを任せていた母親の言葉を信じ、バビーは35年間薄暗い部屋に閉じ込められてきた。そんなある日、父親と名乗る男性が現れたことをきっかけに、彼は外の世界に踏み出すことに。
 
とにかくあまりにも衝撃的な作品。冒頭から残酷なシーンが続くものの、途中からは心温まる場面もあったりで、観終わると不思議な余韻が残る。
 
特殊な環境下で育ったバビーは、善悪の境界が分からないし、"お金" や "死" についての知識もない。最初は外の世界で対応できるかハラハラだったが、様々な人と出会い、色々な経験をしながら、徐々に "人間" らしくなる様が微笑ましく映る。失われた時間は戻らないが、最後は何か救われた気持ちに。そして最後の字幕にも。
 
近親相姦や動物虐待など目を覆いたくなるシーンもあるが、あえてそのようなシーンを描くことで、バビーの "純粋さ" や "葛藤"、そして "成長する姿" をより際立たせているのではと思う。
 
それにしても、エンジェルの両親との食事シーンは観ていて辛かった。エンジェルの両親は最低だけど、その場面でのバビーの優しい言葉は、他人を真似たものではなく、しっかりバビーの感情がこもったものだった。
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