あなぐらむ

女子学園 悪い遊びのあなぐらむのレビュー・感想・評価

女子学園 悪い遊び(1970年製作の映画)
3.9
日活末期「ダイニチ映配」番線で公開された夏純子主演の学園もの。

なんと設定は中学生(ツインテール)! あの手この手で学校を困らせてやろうとする生徒達の姿には、アフター学生運動の影がはっきりと見え、しかもそれが「危ない遊び」でしかなかった事を暗に糾弾しているようにも見える(ちゃんと学校に立てこもるシーンもある)。

とにかく夏純子のあのつぶらな、気の強そうな瞳の魅力ひとつで押し切っていく映画。岡崎二朗が寅さんのパロディみたいなコメディリリーフとしていい味を出し作品を支える。
教師役の江守徹は堅実な芝居だけれど「遊び」が足りない。松原智恵子もすっかり先生の側である。

監督は江崎実生。この後、テレビで青春ドラマも多く手掛けて行く。本作もその手堅い仕事が、シリーズ化する牽引力になったのだろう。
当時流行った映画の様々な部分の寄せ集めのようなホンはベテラン、山崎巌。江崎共々日活生え抜きだけに淋しい限りだが、大映の高橋二三とともに、その名前は記憶されるべき。

シリーズは、「ヤバイ卒業」は加藤彰、「おとなの遊び」は沢田幸弘がそれぞれ撮っているのだが、一か月毎の公開ってのが、ダイニチのもがきの様に見えるのも切ない。
物語のラストで新任教員としてちらっと藤竜也が登場。女子に一気に取り囲まれるシーンは若者の移り気な感じがよく出ていたラストシーンだと思う。