こぅ

深夜復讐便のこぅのレビュー・感想・評価

深夜復讐便(1949年製作の映画)
4.0
個人的に毎度 どこか洗練されてない イメージのジュールス監督による、
林檎売りを巡る【復讐ノワール】。

原題:泥棒の高速道

邦題からの想像とは違ったが予想外に良かった。

OPクレジットのバックが一枚の風景静止画ってのも中々珍しくて渋い。

トラック運転手の父が、悪徳商人のフィグリア(リー・J・コップ)に騙され、両足を失った事を知った息子ニック(リチャード・コンテ)。
復讐と成功を目論み、相棒のエドと上質な林檎の長距離輸送(片道600キロ以上)に挑む…。

冒頭10数分で主人公、ジャンル、目的がスムーズ且つスマートに描かれテンポが心地良い。
ニックには、ポリー(バーバラ・ローレンス)という恋人(婚約者)がいる事も明示。

初っ端からダラダラさせないで、全ての作品は【こぅあるべき】だ‼︎と言いたくなる導入部の語り口。

市場(本題)に着くまでが多少もたつく(あの下敷きで死ななかったのはつっ込み入れたい)が、着いてからの展開(脚本)からは無駄が無い。

悪党フィグリアとの駆け引き対決、後から来る相棒エドをバーで待つ間に絡んでくる謎の【逆ナン美女】リカ(ヴァレンティナ・コルテーゼ)。

ヴァレンティナは、今で言うケイト・ブランシェット(ジャケ写参照)。
この女にもしっかり裏が有り、絡んで来ると俄然面白くなる。

リカのアパートのドアの前、暗くて鍵穴が見えないからとマッチ、いや、ライターを灯す、モノクロ撮影ならではの陰影も所々活かしている。

ニックは悪党から取り返した売上金4,000$でポリーを呼び寄せ、婚約にも至り、めでたしの予定が⁉︎⁉︎

この時代として、トラックの下り坂クラッシュシークエンスは実車使用で中々の迫力(大概は模型で見せる)。

単なる親父の敵討ちに留まらず、【男の友情と運命の◯◯◯】をしっかりとテーマとしてコンパクトに盛り込んでいるのは、秀逸。
緩急も有り、終盤【急ぎ足】にもなっていない脚本のバランス感。

クライマックスの反撃がスカッ!とするのは、リーの憎たらしい悪党っぷりが有って(これ重要)こそだ!


『愛は金じゃない‼︎』をさり気なく⁉︎謳うラストも良いな。


*【キッスで殺せ!】他、A・I・ベゼリデスの脚本は要注目‼︎
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