メル

ブーリン家の姉妹のメルのレビュー・感想・評価

ブーリン家の姉妹(2008年製作の映画)
4.4
16世紀のイングランド。
英国史上最高のインテリとして君臨していたヘンリー8世はかなりの暴君だった。
自分にとって不要な者、意見の違う者は容赦なく切り捨て、処刑する。

彼は生涯で6人の妻を持ち、死因は梅毒(だったのでは?)とされている。
女好きの彼は離婚の禁止されているローマカトリック教から離れあの手この手を使いイギリス国教会を立ち上げるのだが、そのきっかけとなったのがアン・ブーリン。

野心家で賢い姉アン・ブーリンと心優しい妹メアリー。
「娘の結婚は出世の道具」と言い、父親と叔父は彼女たちをイングランド宮廷へ差し出す。

勝ち気なアン・ブーリンをナタリー・ポートマンが憎らしい程えげつなく演じている。

男の後継ぎを産まなければ居場所のない王妃という当時の風潮に王を略奪したアン・ブーリンも同じ様に苦しめられていく。
彼女が最後に我が身を守る為に取った手段が、これ又ビックリ!

どこまでが真実か…という疑問もあるが、原作はフィリッパ・グレゴリーのThe Other Boleyn Girl 。

今をときめくベネディクト・カンバーバッチがメアリーの夫で情け無い役所。
エディ・レッドメインは清々しい若さ漂わせる好青年。
ジュノー・テンプルも台詞は少ないが重要な役。

結果的にはアン・ブーリンが遺したたった1人の娘がエリザベス1世として25才の若さでイングランドの女王になったという事実からするととても興味深い作品。

草原を走り回る幼な子の愛らしい映像から始まり、壮絶な本編を潜り抜けエンディングの草原へのシークエンスは見事!

出世に目が眩んだ父親の横で時々物申す母親の言葉は全てが印象的だ。
メル

メル