こたつむり

シャーロック・ホームズの冒険のこたつむりのレビュー・感想・評価

4.0
♪ 帰りたくない 帰りたくない
  今は只眠りたいだけ
  衰弱していく良識が ほら 夜にとけていく

ビリー・ワイルダー監督と言えば。
『アパートの鍵貸します』『お熱いのが好き』『麗しのサブリナ』など、たくさんの名作を撮ってきた偉人。そして、本作もその中の一本。そう。名作なんです。

でも、簡単に観れないんですよ。
僕は滑り込みでU-NEXTで観ましたが、今は配信されていません(追記・配信延長してました!)。レンタルの大手、TSUTYAで借りるのも難しいと思います。

これって世界的な損失ですよ。
確かに昔の映画ってハードルが高いですけど、それを乗り越えたら目の前に広がるのは黄金の海原。ある意味、ユートピアと言っても過言ではありません。

それに気づくことが出来るか、出来ないか。
思うに、人生を豊かにする分岐点って、そんな“ささやかな”ことじゃないでしょうか。娯楽なんて楽しんだもの勝ち。口を開けているだけで美味しいものが飛び込んでくるのは子供の時だけなんです。

さて、ここからが本題。
本作がなかなか観ることが出来ない理由。
これは僕の推測ですが、ホームズがコカインを打つ場面の所為だと思いました。

一応、原作に忠実なんですけどね。
それでも、色々と配慮が必要な昨今、反社会的な表現がある映画を配信して問題になりたくない…という保身が働くのも仕方がないのかもしれません。ぶっちゃけ、器が小さいだけだと思いますが。

だって、本作は名作なんです。
原作の雰囲気を大切にしながらも、仄かに香る適度なコメディ要素。テンポが良い展開なのに、枝葉までしっかりと描かれた筆致。勿論、伏線を張るのも忘れていません。

唯一の難点はホームズの活躍が少ないこと。
快刀乱麻を断つ、そんな場面に期待すると肩が下がりますので要注意。でも、そんなのは些細な話。本作が面白いのは間違いありません。

まあ、そんなわけで。
娯楽は娯楽として楽しめる大人向けのミステリ。ビターな着地点に胸が痛むのは間違いありません。観る機会が訪れたなら、妻を質に入れても是非。
こたつむり

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