イチロヲ

甘い毒のイチロヲのレビュー・感想・評価

甘い毒(1994年製作の映画)
3.0
夫の財産を奪い取り自宅を飛び出した夫人が、行きずりの青年を色香で操りながら、邪魔者の排除を遂行しようとする。悪女の暗中飛躍をノワール調に描いている、エロティック・スリラー。原題を直訳すると「最後の誘惑」となる。

魔性の女の打算的な思考能力を楽しむための、純然たるエンターテインメント作品。どのような状況に置かれても、常に二枚舌と二面性のスキルを発揮して、男の情欲を自在にコントロールする。声色や表情を変えて別人になるところが、愉快で恐ろしい。

主人公が「触ると危険な、棘だらけの女」にしか見えないため、盲目的に惹き寄せられる青年との同調が難しいが、主演女優リンダ・フィオレンティーノ(公開当時36歳)の熟れた色香には、それなりの説得力が備わっている。

主人公の豪胆無比な言動が都合よく転がっていくため、(製作者はマジでやってるのだろうが)もはやギャグの領域に入っている。後出しジャンケンで「実はこうでしたー」という突飛な展開も、微笑ましいレベルのズッコケなので、これはこれでアリ。
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