もるがな

キャリーのもるがなのレビュー・感想・評価

キャリー(2013年製作の映画)
3.5
リメイク版。原作はネットの無い時代の作品ではあるのだけど、人の本質や、悪意に変わりはないせいか、時代性のアップデートを受けても特に違和感がなかった。動画公開のイジメなどは今の時代ならではといった所。

クロエ・グレース・モレッツの纏う雰囲気は素晴らしく、ピカイチではあるのだが、キャラクターを考えるとミスキャストにしか思えない。アメリカのスクールカースト最底辺にいるイジメられっ子の少女という役どころだが、流石にそれは無理があるだろう。美人による妬みでイジメられてるというわけでもなく、その美貌に誰も気づいていない感じなのだが、それはいくらなんでも鈍感過ぎる。それぐらいスクールカーストにおけるいじめのルッキズムによる作用は大きく、反してクロエ・グレース・モレッツは美しい。おかげでプロムナイトでの変貌のインパクトが薄かったのは残念だった。可愛くてもダメです。

反面、毒親でインチキ宗教にかぶれた狂信的な母親役であるジュリアン・ムーアはハマり役過ぎてビビってしまった。あれは怖過ぎる。娘が歪んだ諸悪の根源でありながら、悲劇に対する唯一のストッパーがまた母親だったというのが何とも言えず後味が悪い。

総じて、旧作と比較すると現代仕様へのアップデートには成功していて、展開もビジュアルも洗練されてはいたのだが、そのせいか原作にあったおどろおどろしさは随分と薄まったような気がする。ラストシーンはあまりにも有名過ぎて今だと陳腐に映るせいか、若干変えられていたのが不満ではあった。

文句は多いのだが、クロエ・グレース・モレッツのホラー風味アイドル映画として見れば意外とイケるクチの映画である。俳優が最も輝いている時代を銀幕に永遠に閉じ込めておくのも映画の大切な役割なので、そういう意味では、この映画はアイドル映画としての本懐を遂げているのではないですかね。
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