Dick

クレイジーホース・パリ 夜の宝石たちのDickのレビュー・感想・評価

4.8
★2012.07.24名古屋センチュリー1劇場で鑑賞。

❶高校時代に『世界の夜(60伊)』他のシリーズに登場した「クレージー・ホース・サルーン」のショーを観てそのエロティシズムに魅せられた。そして「いつか生の舞台を見てやろう!」と決意した。64年公開の『パリ・エロチカ(63仏)』、79年公開の『クレイジーホース in Paris(77仏)』を観て、その意を新たにした。当初の決意から数十年経った96年、ヨーロッパ出張でパリに泊る機会があり、ようやく夢が実現した。「待てば甘露の日和あり/dreams come true.」を実感した。この時は23時スタートの2時間のショーで料金はFFr.750(\13,000)。
❷「大好きな作家フレデリック・ワイズマンがクレイジーホース・パリを撮った!」。夢のようなニュースで大いに期待していた。その期待を上回る仕上がりに大満足。
❸ステージ以外に、日頃の練習、リハーサル、オーディション、スタッフ会議、運営会議等々、生では見ることの出来ない舞台裏の活動が満載で嬉しい。
❹オーディションで2番手に登場した、ちょっと太目の美女が綺麗なダンスを披露するが、審査員が「性転換者は採らない」と。この美女はカトイ(性転換した元男性)だったのだ。
❺お気に入りに一言:
①アリ・マフダビ(美術監)が言う:「フランス政府は推奨すべきだ!。一生に一度は(クレイジーホースの)ショーを見るべきだと!」
②スタッフの誰か?が言う:「『上海特急(32米)(ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督』大好き!、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー(45-82独)もマイケル・パウエル(05-90英)も大好き!」
❻タイトルは仏語。
❼さりげなく街の風景を挿入するワイズマンお馴染みのスタイルが健在。
❽ちなみにワイズマンの一般的スタイルとは:
http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0258130/top.html
①「16ミリ同時録音キャメラ(注1)で,隠し撮りや無許可撮影はせずに被写体の承諾を得ながら,4週間から12週間かけて撮影する。
②撮影クルーは,キャメラマンと録音技師,アシスタントの3人編成で,監督自身が録音を担当しながら,指示を出すスタイルを基本とする。
③撮影されたフィルムは,およそ1年かけて編集され,作品となる。
④作品は,71年に設立した自己のプロダクションであるジポラ・フィルムを通じて配給され,同時に,アメリカの公共放送のほか,フランスやイギリスなどのテレビで放映されるのをつねとする。
⑤ワイズマン作品には,ナレーションや字幕とテロップ,さらに音楽が加えられない.インタビューもない。
⑥この〈4無い主義〉と言われる方法意識によって,観客は,映像と音声とが,スクリーン上でなまなましくぶつかりあうのを目撃することになる。
(注1)2000年中盤あたりからHDを使用するようになった。
➒これまでに観たワイズマン作品(オペラ座以外は碧水ホールの「フレデリック・ワイズマン映画祭2004」にて)
①パリ・オペラ座のすべて (2009) 4B★★★★/80点
②DV 2 (2003)/4B★★★★/80点
③最後の手紙(2002)/4B★★★★/80点
④臨死 (1989) /4B○★★★★★/100点
⑤ミサイル(1987)/4B★★★★/80点
⑥聴覚障害 (1986)/4B○★★★★★/100点
⑦視覚障害 (1986)/4B○★★★★☆/95点
⑧適応と仕事(1986)/4B★★★☆/70点
⑨多重障害 (1986)/4B★★★☆/70点
⑩シナイ半島監視団(1978)/4B★★★★☆/90点
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