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パフューム ある人殺しの物語のRのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2007年の洋画。

監督は「ヘヴン」のトム・ティクヴァ。

あらすじ

18世紀のフランス、パリ。悪臭漂う魚市場で1人の赤ん坊が生まれた。大きくなったその青年、ジャン=バティスト・グルヌイユ(ベン・ウィショー「パディントン2」)は生まれながらにして数キロ先の匂いを感じ取れるほどの超人的な嗅覚を持っていた。
嗅覚に魅了された彼はある禁断の香水作りに着手する。

Netflixにて、当時放映された予告の一場面が鮮烈に記憶に残っていて鑑賞。

こういう系の作品(中世?を舞台にした作品)はあまり観ないので、よくわからないがなんとなーく髣髴とさせるのが「スウィニートッド」。

あちらも人肉理髪師という特異な殺人鬼ものだったが、こちらもアブノーマルさでは負けていない。

「嗅覚」という才能に愛され、魅了された挙句、着手したのが「人の匂い」。

端的に言えば体臭なんだろうけど、どちらかというと人が、特に若い処女が発するフェロモン=「性」であり、「生」の匂い。

うら若き赤毛の乙女の匂いに誘われて、思わず殺人を犯してから、その匂いを忘れられず「匂いの保持方法」を学び、その方法を駆使して、次々に処女狩りをしていくグルヌイユ。

演じているのが、「007」でのQ役や「パディントン」の吹き替えでも同じ、文系男子感溢れる俳優、ベン・ウィショーが繊細に演じているから、それほどでもないが隠しきれず滲み出る「変態性」!!

こ、こいつ、間違いなく変態だっ!!と思わずにはいられない所業の数々…笑。

多分、グルヌイユ本人は純粋な探求意欲から起こる好奇心が発端になってるんだろうけど、きっかけとなる赤毛の少女のうなじの匂いを嗅ぐシーンだったり、売春婦に匂いを添付させるクリームを塗りたくったり、その匂いを嗅ぎとる際のウィショーのうっとりした顔つきといい、フェチシズム全開の変態性、たまんねぇ!!

道中、名のある調香師バルディーニ(ダスティ・ホフマン「スピルバーグ!」)に弟子入りした後、本場グラースで「匂いの保持方法」を学んだグルヌイユは凶行を重ねる。

もっか13人の乙女の匂いを抽出しなければならないため、夜な夜な攫って、身ぐるみはいで丸刈りでぽいっを繰り返すグルヌイユ…つか、バレるっしょ!!

まぁ、グルヌイユ的には自分がどうなろうが、「究極の香水」を完成させるという目的意識のみで動いているので、構わないのだろう。

村娘から修道女まで手にかけ、遂に裕福な商人リシ(アラン・リックマン「アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅」)の美しき娘で恋にも似た感情を抱いていた、ローラ(レイチェル・ハード=ウッド「トゥモロー 僕たちの国が侵略されたら」)をも殺めるグルヌイユ、しかし遂には証拠を掴まれ、捕らえられてしまう。

ただ、その懐には既に出来上がった「香水」が!!そして、処刑の当日、取り出した香水をふりかけると…!!

まさかの大・乱・交!!!!!

老若男女問わず、その匂いにやられた民衆はしなだれ、服を脱ぎ捨て、辺り構わず行為に耽る…。そう公開当時テレビCMでこのシーンが流れていて、鮮烈に残ったこのシーン、いざ観てみると、す、すごい!!

ただ、エロいっていうよりも絵画を鑑賞しているような高尚なシーンに昇華していて、とにかくなんかすごいっ!!

魅惑のパフュームを遂に作り上げたグルヌイユはまさに神にも等しい力を手にしたわけで、その香水さえあれば、なんでも出来ちゃいそうなもんだけど、その去り際もなんだか史実にある聖人の最期のようで…。

まさに「立つ鳥跡を濁さず」を字で言ってる。

だから、確かに殺人鬼のお話なんだけど、後味は清々しい。

事実だけみればバッドエンドなんだけど(とにかく人死が凄まじい)、グルヌイユ本人にとってはハッピーエンドなんだろう、きっと。

大乱交シーン目的で観たけど、お話自体もしっかりとした作品でした。
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