茶一郎

フライトの茶一郎のレビュー・感想・評価

フライト(2012年製作の映画)
4.1
『動かないわ リモコンがダメね。手動でいきます』


 9時発のフライト前、7時すぎに二日酔いの中、ドラッグを吸う主人公がベッドから出るところから始まる。
主人公はアルコール中毒、薬物中毒のパイロット。しかし後に、このどうしようもない主人公が乗客100人を奇跡のフライトで救うことになる。

 
 デンゼル・ワシントンの正義とも悪とも取れる風貌の取り扱い説明書が今作。
『酒』がサスペンス要素になっているのも面白く。まさに(酒を)飲むのか、飲まないのかサスペンス。後半、主人公が酒へ伸ばす手がホラー表現になっているのなんか、笑ってしまうくらい怖い。


『受け入れる心 変える勇気』
主人公の思考自体が主人公と観客を追い詰めていく。アルコール中毒の機長は英雄なのか、ただの犯罪者なのか。

のっぴきならない状況の主人公と観客とは正反対に、ただ神を信じることで救われている人びと(ガン患者・副操縦士)が配置されているのが印象的。
脚本のアクのような気もするし、ゼメキス作品にはいつも信仰者の存在が良くも・悪くもあるようで印象に残る。


主人公の中で、もう一度、飛行機が飛び始め、エンジン音が聞こえる瞬間に何を見るのか。お酒が怖くなる。
茶一郎

茶一郎