ほーりー

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったかのほーりーのレビュー・感想・評価

3.9
ヴェラ・リンが歌う主題歌「We'll Meet Again」が流れ、うんとこさ水爆が炸裂するラストが印象的。

ちなみにヴェラ・リン、何と御歳101歳(2018年時点)でまだお元気です。

鬼才スタンリー・キューブリックによるブラック・コメディの決定版で、この作品も今さら何を言うことあるんだろうという程の超有名作であります。

ピーター・セラーズが一人三役を演じたことでも有名な作品(当初は爆撃機長のキング・コング少佐もやる予定だったそうな)だが、おそらくセラーズとしては「カインド・ハート」で一人八役を演じたアレック・ギネスを相当意識していたように思う。

ストレンジラヴ博士の薄気味悪い笑みは、「マダムと泥棒」(本作はセラーズも出演)でギネスが演じた教授を彷彿させる。

時は米ソの核開発競争が本当にシャレにならなかった1960年代。

ソ連が攻め混んでくるという強迫観念にとらわれ頭がおかしくなったアメリカ空軍のリッパー准将(スターリング・ヘイドン)は、独断でソ連への核攻撃命令を発令する。

たまたま現場に居合わせたイギリス空軍のマンドレイク大佐(ピーター・セラーズ)がリッパーを攻撃を止めるように説得する。

一方、マフリー大統領(ピーター・セラーズ)は深刻な事態を収集するため、タカ派のタージドソン将軍(ジョージ・C・スコット)や元ナチの科学者ストレンジラヴ博士(ピーター・セラーズ)ら有識者を緊急召集するのだが……。

間違いなく映画史に残る傑作ではあるものの、純粋にコメディとして笑えるかというとまた違う話。

ただしこの映画の場合、あまりにも戦慄な内容なので、笑うに笑えないというのが正しいかもしれない。

なお登場人物はみんな名前がギャグになっている。

タイトルのストレンジラヴ(異常愛)博士を筆頭に、ジャック・D・リッパー准将はジャック・ザ・リッパーから、キング・コング少佐はそのまんま、マンドレイク大佐はマンドラゴラの別名、マーキン・マフリー大統領の“merkin”は女性陰部用のかつら、そしてタージドソン将軍は“turgid(膨張した)” “son(息子)”なんだそうな。

まあ何てやらしい名前なんざましょう。

■映画 DATA==========================
監督:スタンリー・キューブリック
脚本:スタンリー・キューブリック/ピーター・ジョージ/テリー・サザーン
製作:スタンリー・キューブリック/ヴィクター・リンドン
音楽:ローリー・ジョンソン
撮影:ギルバート・テイラー
公開:1964年1月30日(米)/1964年10月6日(日)
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