特濃ミルク

風立ちぬの特濃ミルクのネタバレレビュー・内容・結末

風立ちぬ(2013年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

 色彩豊かな風景描写で静謐な雰囲気を作り出すとともに、イマジネーションが頭の中から直接飛び出たような、幻想的でフェリーニ的な映像表現が加わっていて素晴らしかった。宮崎駿監督の永遠のモティーフである、「飛翔」・「空への憧れ」なんかが最も色濃く反映された作品の一つではないかとも思う。(当然、命の大切さ、儚さも)
 さて……もう既に完成した作品に対して言うのはおこがましいのかもしれないが…本当に…どうしても本業の声優を起用できなかったのかな?サブキャラならまだしも…主人公だろう。
 素人にしか出せない味がある、そしてそれが自然に一番近いんだ、ていう考えとかこだわりも分かるけど、やっぱりアニメにはアニメ特有のリアリズムがあると思う。そしてそれはトレーニングや経験を積み重ねた声優にしか出せないものだとも思う。もちろん中には突然抜擢されて、それで普通に上手くこなしちゃう未経験者もいるとは思うんだけれども、少なくとも個人的には舌足らずな庵野さんの声には違和感を覚えた。正直あの序盤で初めて喋るシーンは苦笑いしてしまったな。え、これで全編いくのかよ…と。
 まあそれも結局は聞いているうちに段々慣れてはくるんだけど、大事な所でドラマに入り込めないんだよな〜…。村上春樹の文体も然り(作品によるけど)…中の人の顔がチラつくのよ!ほんとにそれは作品にとって致命的だと思う。
 全体的にはいい作品なんだけど、そこだけめちゃくちゃ腹立ちぬ。
特濃ミルク

特濃ミルク