喜連川風連

風立ちぬの喜連川風連のレビュー・感想・評価

風立ちぬ(2013年製作の映画)
4.7
宮崎駿さんが晩年に差し掛かり、作った映画はなんと純愛。恐れ入った。

雲、背景による状況描写の豊かさ、上手さがさすがの一言。

日本の二度と戻ることのない美しさ風景や人物にノスタルジーを感じ、鳥肌が立つ。

蠢く群衆。群衆が奥に手前によく動く。ダイナミズムと、臨場感。さすが宮崎演出。

小さい仕草、二郎がつまづく描写が二郎をより人間的存在として際立たせる。

メフィストフェレス(悪魔)(カプローニ)のささやきによって飛行機作りという夢に取り憑かれていく二郎。

それは、アニメ作りに取り憑かれていく宮崎駿さんにも重なる。

線を書くという仕事。黒川さんという厳しい存在(黒川さんのモデルは高畑さんではないか?課長のモデルは大塚さんか?)

人物の衣装や建築は写真を切り抜いたように豊か。

目の前のことを一生懸命生きた結果、それは報われないかもしれない。

それでもこの世は生きるに値する。

言葉にしたら陳腐な想いを塊にした素晴らしい映画。何度も見ます。
喜連川風連

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