群青

かぐや姫の物語の群青のレビュー・感想・評価

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)
3.5
日本最古の物語。桃太郎と同じく知らない日本人はいないのではないか。
それを映画化するなんてねえ。

話はみんなが知ってる通りのもの。説明不要ってよく考えたらすごいよね。

観て思ったのはかぐや姫の印象。原作(平安時代くらいの作品を原作って呼ぶ日が来るなんて…)ではどこか浮世離れしていたかぐや姫。まあ実際浮世離れしてるんだけど。しかし今作では極めて普通の女の子として描かれている。子供達と普通に遊んで、農民の出なので貴族の生活になじめず畑に行ったりとか。でもそこに忍び寄るのは、父の富が第一という考えだったり、言い寄る男どもの自分をステータスとしか思っていないところだったり。極め付けエンペラー:アゴのセクハラだったりで著しく心をかき乱されてしまう。唯一の救いだった捨丸も…
お母さんだけは同じ女性なのか最後までかぐや姫のことだけを考えてくれていたけれどもそれだけじゃあどうにもならなかった。

かぐや姫の罪と罰は他ならぬ地球にいること、そして感情によって心がかき乱されることだ。そして月の民がチート技でかぐや姫を月に戻す。このラストはマジでホラーだった。まず音楽ね。月の民の奏でる音楽はすごく良いの。すごく良いけどゾワゾワする。なんか本能的にコレヤバイって思ってしまう。この相反する二つの感情が混ざり合ってなんともいえない。月に民の顔も無表情。あわわわわ笑
極めつけは誰の呼びかけにも耳を傾けないかぐや姫の虚ろな目。あれで本当にいいのだろうかと疑いたくなった。月の方が楽園なんだろうか。

そのままのラスト。主題歌のいのちの記憶は、それまで守っていた心の壁をすり抜けて魂を鷲掴みにされた感覚。そう、かぐや姫が連れていかれるのをただ見ることしか出来なかった、兵士やお父さんお母さんのような感覚になった。するりといとも簡単に魂に触れてきた感覚。感動とは少し違うざわざわとした感覚。そんな感じになった。

放心状態とはこういうことなんだろうなぁ。なんなんだろう。こういうのを芸術って言うのかなーといきなり小並感溢れる言葉になってしまったのが申し訳ない笑

でも本能でこれは凄い作品だと思える力があったなぁ。
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