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ジャックと天空の巨人ののらのレビュー・感想・評価

ジャックと天空の巨人(2013年製作の映画)
2.5
ジャックと豆の木の実写版だが、豆と巨人が出てくる以外は原型を留めていない。話も巨人に囚われた姫を救い出す主人公に、それを妨害する野心の多い悪の伯爵という在り来たりの話になっている。終盤で巨人たちが地上に降りてきて人間を狩るという展開も、話の雰囲気的にわりと予想が出来る展開で見ていて驚きが一切ない。

また金の卵を生む鶏など原作にあったファンタジー要素は排除する一方で、しゃべるハープらしきものは巨人の宝物庫に置かれているにも関わらず話にはまったく関与してこない。巨人が出てきている時点でファンタジーなのだが、原作に合った要素の取捨選択のバランスが良くわからない。

さらに巨人たちを従える事のできる、巨人の心臓から作られた王冠というキーアイテムが出てくる。ラストでは、それが後に復元された聖エドワード王冠である事を示唆して終わる。にも関わらず劇中では巨人が王冠を指輪として使うというロード・オブ・ザ・リングのパロディしたシーンがあったりとリアリティとファンタジーのバランスがとにかく悪いのだ。

クライマックスでニコラス・ホルトとユアン・マクレガーが初めて出会うシーンと逆になるといった遊びは入っているが、全体的に予想のつく展開な上に、新解釈要素も特にひねりも無く何の驚きもない平凡な映画になっている。
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