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アフター・アースののらのレビュー・感想・評価

アフター・アース(2013年製作の映画)
2.5
M・ナイト・シャマランによる本格的な SF 映画でジェイデン・スミスとウィル・スミスの親子共演が売りの映画。

地球に住めなくなった人類は遠く離れた惑星ノヴァ・プライムに移住したが、そこに住んでいた先住民は人類を抹殺するため、人間の恐怖心を察知して捕食するアーサと呼ばれる化け物を放つ。そこで人類は恐怖心を消すゴーストと呼ばれる能力を持つ人間で構成されるレンジャーを組織した。

レンジャーの将軍でもあり英雄であるサイファの息子であるキタイは成績は優秀だが精神的な未熟さを指摘されレンジャーの一員になれず腐っていた所を、父親の誘いでレンジャーの訓練に同行する事になるが、その途中で宇宙船が事故に合い地球に不時着。重症の怪我を負った父親とキタイを除いてクルーは全員死亡し、さらに訓練の為に輸送していたアーサの卵まで行方不明に、その中でキタイは恐怖心に打ち勝ち生き残れるのか?と言った感じのジュブナイル系の SF 映画になっている。

親子共演が売りではあるのだが父親役のウィル・スミスは早い段階で重症を負い不時着した宇宙船から出られない為、キタイを演じる息子ジェイデン・スミスとの絡みは殆どが音声ベースなので実際の共演シーンは数えるほどしか無い。

挫折した少年が成長し恐怖に打ち勝つという古典的なジュブナイルものなのだが、ジェイデン・スミスはベスト・キッドやデビュー作の地球が静止する日同様クソガキを演じさせると凄く味が出る役者で、ジュブナイルものにうってつけと言える演技を見せている。

その一方で本作のギミックとも言える人間の恐怖心を目印に襲ってくるアーサの存在自体はジュブナイル物として非常に良い設定なのだが、問題は主人公が恐怖を克服するないし、自分の感情をコントロールする術を身に着ける過程があまり上手く描けてない為、唐突にゴーストを使えるように見える。

また父親が英雄という設定のせいで冒険によって溜まった経験値でゴーストを会得したのではなく、単純に遺伝的なギフトとしてのゴーストが覚醒したかのように見えるのも本作のマイナス点と言える。

ジュブナイル SF 映画としては悪くないのだが、中で扱っている題材が古典的だし、人類によって放棄された後の地球の描写も新規性が乏しい。また宇宙船のデザイン等もこれと言った新しさを感じない。オーソドックスな ジュブナイル SF にはなっているが、主人公の成長面を描ききれてない為に古臭さが強調された映画になってしまっている。
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